JA全農グループ内でITおよび管財などのサービスを手掛ける株式会社全農ビジネスサポートでは、新たにクラウドを活用した会計システムを構築、自社での運用を開始したほか、グループ各企業への提案を進めています。この会計システムは、自社で開発した財務会計と、BIツールを利用した管理会計で構築されており、このうち管理会計部分にDataSpider Servistaが活用されています。
株式会社全農ビジネスサポート
本社 | 東京都千代田区内神田1-1-12 |
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Webサイト | http://www.z-bs.co.jp/ |
取材日 2012年10月
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
記事の内容は、旧アプレッソによる取材時のものとなっております。
株式会社全農ビジネスサポートは全国農業協同組合連合会(全農)の100%子会社で、不動産や施設管理、損害保険、広報宣伝、そしてIT 関連といった、専門性の高い各種サービスを、JA全農グループ各組織に提供しています。IT関連サービスを手掛ける同社情報サービス事業本部には、現在では約200名の職員が所属、システム開発・保守、独自パッケージの開発、IT機器やソフトの販売、運用管理など、幅広いITサービスを手掛けています。2012年には、自社を含むJA全農グループ会社向けの新たな会計パッケージ「みのり会計システム」を、同社初のクラウド利用可能なアプリケーションとしてリリースしました。このシステムは、自社開発した財務会計と市販ツールを活用した管理会計とが組み合わさっており、その中で、財務・管理会計の連携や他システムとの連携を担う重要なコンポーネントとして、DataSpider Servistaが採用されています。
みのり会計システムは、同社が開発・販売するJA全農グループ企業向け会計パッケージの最新版で、2010年11月から開発に向けた検討をスタートしています。前バージョン「COMPAS」まではオンプレミスで運用するシステムでしたが、同時期に社内でクラウド活用のプロジェクトが進行しており、会計システムについてもコストの試算を行ったところ、Amazon Web Services(AWS)で運用する方が低コストだと分かり、クラウド会計システムとして開発が進められることになったと言います。
また、COMPASでは財務会計と管理会計が一体となったパッケージだったのに対し、みのり会計システムではBIツールをベースに管理会計部分を構築することになりました。汎用性の高い市販ツールを活用することで、細かなニーズにも柔軟に対応していくことができます。そこでポイントとなったのが、ETL/EAIツールの選定です。
「管理会計を担うBIツールへのETL機能、そして他システムから会計システムにデータを取り込むEAI機能の両方を担えるツールとして、DataSpider Servistaを選びました。検討開始と同時期にアシストから提案を受け、試用版で具体的なイメージを掴んでおり、またライセンス形態がマッチしたのが採用の理由です。」と、情報サービス事業本部 グループ関連システム部ソリューショングループの時津朋寿氏は言います。
みのり会計システムの開発は、時津氏を中心に3名の体制で、社内に開発・テスト用のサーバを置いて進められました。Javaなどのコーディング経験を持つ時津氏ですが、GUIによる開発は初の体験だったと言います。「最初はDataSpider Servista特有の概念や癖などに戸惑ったこともありますが、画面の内容が分かりやすく、アシストのトレーニングを受けて使っていくうちに慣れました。事前に試用版を使って、想定していた処理を全て実装できそうだと分かっていたので、ほとんど不安はありませんでしたね。」(時津氏)
一方、入社間もなく開発チームに参加し、初めて業務として携わる開発でDataSpider Servistaを使うことになったのが、同じくソリューショングループの前田慎太郎氏です。
「何をするのかが視覚的に分かる開発画面なので、深い知識がなくとも一度やれば慣れて開発を進められます。仕様を書かなくても開発できてしまうので、仕様書を改めて作るのが手間だなと感じたくらいです。」(前田氏)
みのり会計システムでは管理会計部分の基本ロジックのほぼ全てをDataSpider Servistaで処理しており、今回は200本以上のスクリプトが開発されました。チームで開発するに当たっては、全員で共通に使えるロジックを用意するなどして効率化を図ったとのことです。「スクリプト単体でテストできるので、問題の切り分けが容易なのも良いですね。一つひとつ信頼できる段階になってから公開することができます。」(時津氏)
みのり会計システムは2012年7月にリリースされ、社内システムはAWS上で本番環境が運用されています。「AWSでは本番運用のみです。リリース時だけはDataSpider Servistaの画面を開きますが、若干のタイムラグを感じますね。それ以外は、クラウドだから苦戦したということは特になく、ほぼオンプレミスと変わらず使うことができます。逆に、クラウド環境は単純なコストだけみても安い場合が多く、我々がハードウェアの監視をしなくても済む上に、データセンターの耐障害性も高いので、かなりのメリットを実感しています。今後は、他のシステムでもクラウド基盤の活用を検討して行きたいと思います。」(時津氏)
そして、みのり会計システムはグループの他の企業も採用を決めたり選定段階に入っており、これからユーザーの増加が期待されているところです。
一方、DataSpider Servistaは、システム移行時のデータ転送にも使われたり、社内の業務効率化など、他の様々な用途にも活用が広がってきていると言います。「DataSpider Servistaではメールも処理できるので、夜間バッチの結果メールを整理するといった使い方も考えています。
当社は顧客が多く、運用するシステムの数も多いので多数のメールが届いており、目視でチェックするのが困難になってきているのです。それをDataSpider Servistaで受けて、フィルタしたり整理した上で1通だけサマリーを送る、といった使い方も考えています。」(時津氏)