この業務フローではプロセスを開始するのは顧客(取引先)です。
見積を依頼したい顧客企業の担当者がプロセスを開始、依頼したい内容を入力します(1.見積依頼)。承認が必要な見積の場合は、顧客リーダに見積依頼を確認し承認するタスクが割り当てられます(1b.依頼承認)。
顧客から見積の依頼が出されると、電子メールで依頼があったことが自動的に関係者に情報共有されます。
見積の依頼があると、まず営業に回答予定を入力するタスクが割り当てられます(2.見積回答予定入力)。引き続いて営業に、見積書作成のタスクが割り当てられます(3.見積書作成)。承認が必要な見積の場合は、リーダに内容を確認して承認するタスクが割り当てられます(4.見積書承認)。
見積が出されると、顧客企業担当者に見積書の内容を確認するタスクが割り当てられます(5.見積書内容の発注)。担当者は、見積書の内容で発注をするか、見積の修正依頼をするか、あるいは注文を止めるかを判断します。
見積りの修正依頼がされた場合は、営業に修正依頼に対応するタスクが割り当てられ(6.修正対応)、必要な場合にはリーダに内容を確認して承認するタスクが割り当てられます(7.修正承認)。
注文を止める場合には、プロセスは終了となります。
見積書の内容で発注がされると、営業に受注確認をするタスクが割り当てられます(8.受注確認)。営業が受注内容を確認してタスクを処理した後、製品の出荷をする担当者にタスクが割り当てられ(9.納品完了報告)、最後に経理担当に入金確認のタスクが割り当てられます(10.入金確認)。
一体運用をさらに進め、納品後の顧客の検収実施と振込実施も含めた業務フローです。
納品完了後の顧客側の作業がさらに取りこまれています。
納品完了後(9.納品完了報告)に顧客側作業と自社側作業にフローが分岐、顧客企業の担当者に検収を行うタスクが割り当てられ(9a.検収実施)、引き続いて代金の振込をするタスクが割り当てられます(9b.振込実施)。
経理担当者が顧客側の入金を確認(10.入金確認)するとプロセスは終了します。
この業務フローは、自社側と顧客側にまたがって運用される点が特徴です。プロセスを開始するのも顧客(取引先)となっています。
全体の流れとしては、「見積依頼作成(顧客側)」「見積もり作成(自社側)」「見積内容の確認と修正依頼のやり取り(顧客側と自社側のやり取り)」「受注と納品(自社側)」「検収と振込(顧客側)」「入金確認(自社側)」となっており、社内と社外を行ったり来たりするプロセスとなっています。
自社の責任部分は自社で管理した方が責任は明確ですし、他社管理下のシステムには社外に知られたくない情報は置けません。何かあった時にどちらの何が原因なのか解りづらくなる問題もあります。
しかし、ビジネスの流れが自社側と顧客側にまたがっているのは事実。そこで一体的に運用しているのが、この業務フローです。ボールが相手側に行っている間も業務の処理状況がどうなっているのかなども、業務が見えるようになるため、互いにとってビジネスの流れ全体が見えやすくなり、意思疎通もよりスピーディーに行えるようになるはずです。
また、このように一体的にプロセスを作り込むと、通常はなかなか意識が難しい自社側と顧客側にまたがった業務の無駄や業務の停滞も有無を言わさずに「見える化」されてしまいます。BPMには「見える化」だけでなく、現場主導で柔軟かつ迅速に、日々業務改善を進められる特徴もありますから、問題点が見つかればすぐに解消に取り組むこともできます。
ビジネス環境が厳しくなり日々競争力の向上が求められる昨今、各社業務の部分最適を超えた、全体最適なビジネスを実現できることは、時代に求められる一段上の競争力を実現するきっかけにもなるのではないかと思います。
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